「クレジットカード会社から多額の借金をしてしまい返済が困難になった」
「債務整理をしたいが妻(夫)にバレないか心配」
「彼氏(彼女)に内緒で高価な買い物をしてしまったが、リボ払いが苦しい」
このようなお悩みを抱えている方はたくさんいらっしゃいます。
ここでは、債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)を身内にバレずに行うことは可能なのかどうかについて解説いたします。
任意整理とは、貸金業者と個別に交渉を行い、債務額を減らしたり、利息のカットや分割回数の変更によって月々の返済額を減らし、スムーズな完済を目指していく手続です。
弁護士があなたの代わりに貸金業者と交渉を行い、現在の返済条件よりも有利な条件での和解契約締結を目指していきます。
任意整理は、自己破産や個人再生と異なり、裁判所を通さず、各債権者との間で交渉を行っていくものです。
任意整理では、まず債権者からクライアント様への督促をストップさせるために、弁護士が債権者に対して受任通知を送ります。受任通知を受け取った債権者は、2週間から1か月ほどで、取引の履歴の詳細が書かれた取引明細書を送ってきます。送られてくる先は法律事務所です。
取引明細書が送られてきたら、利息制限法を超えるような利息となっていないかどうかなどを弁護士がチェックします。
そして、弁護士と債権者が電話等により交渉を行い、利息のカットや分割回数、分割払いの開始日などを決め、和解書を2通作成します。
弁護士と債権者の双方が和解書に捺印した上で、1通を債権者に送り、もう1通をクライアント様に送ります。
後は、クライアント様の方で、和解書に基づいた新たな条件での返済を開始していただきます。
返済が全て終わると、通常は債権者からクライアント様宛てに最初の借入れの時に交わした消費貸借契約書が返送されてきます。
任意整理の流れについての詳しい解説は こちら をご覧下さい。
上記のような任意整理の流れの中で、身内の方が任意整理を知る機会はあるでしょうか。
まず、任意整理中、債権者からはクライアント様に電話やハガキによる督促は来ませんので、身内の方が知る機会はありません。
もっとも、例えばAというクレジットカードで、クライアント様及びクライアント様のご家族の携帯電話の料金の支払いをしていたという場合に、Aクレジットカード会社の債務について任意整理をすると、携帯電話料金の決済ができなくなります。このタイミングで、ご家族の方に知られてしまうというリスクはあります。そのため、携帯電話その他の料金をクレジットカード払いにしていて、そのクレジット会社との間で任意整理をしたいという場合には、予め支払い方法を変更しておくなどの準備が必要になります。
また、例えば銀行との間で任意整理をする場合で、その銀行の口座に預金残高がある場合には、口座が凍結された上で、借入金と預金残高が相殺されてしまいます。その口座が生活口座になっていて、ご家族様もそこから引き出しをするような場合、口座が凍結されていることを知ってしまう可能性があります。
和解交渉は、全て弁護士と債権者との間で行われます。なお、ご依頼時に和解条件についての希望をお伺いしますが、和解成立前には、念のためもう一度クライアント様に和解内容について最終確認をしていただいております。和解内容の確認については、お電話またはメールでご確認させていただくので、身内の方がクライアント様のメールを見ることが無ければ、やはり身内の方には知られません。
最後に、和解が成立すると和解書(あるいは債務弁済契約書、和解契約書、合意書などとも言われます)の原本をクライアント様にお送りします。通常は、郵送でお送りさせていただきますが、クライアント様のご希望により、「法律事務所名が入っていない封筒での郵送」あるいは「事務所にご来所いただいての直接手渡し」による交付も行っております。
なお、任意整理をした場合、5~7年間、信用情報機関に事故情報が登録されます。信用情報機関とは、クレジットカードの利用者ごとに、名前、生年月日、住所といった個人を特定するための情報の他、クレジットカードやローンなどに関する契約内容、支払状況、利用残高などを登録している機関です。新しくクレジットカードを作ろうとした場合や、ローンを組もうとした場合、金融機関は、信用情報機関が保管している信用情報をチェックして、新しいクレジットカードの契約を結ぶか、限度額はいくらにするか、ローン契約を認めるか、といった判断をしています。そのため、任意整理後すぐは新たなクレジットカードを作ることができません。このことがきっかけとなって、身内の方に任意整理をしたことが知られてしまう可能性は否定できません。
以上のとおり、弁護士に任意整理を依頼しても、基本的にはご家族の方がそのことを知る機会はありませんが、任意整理をする対象のクレジットカード会社のカードを使って携帯電話や光熱費等の支払いを行っている場合や、ご家族様も利用する口座がある銀行を任意整理の対象とする場合には、ご家族の方が知る可能性もある、ということになります。
なお、イデア・パートナーズ法律事務所では、書類の郵送を希望しないクライアント様には、「法律事務所名が入っていない封筒での郵送」や、「事務所での直接手渡し」といったご対応をさせていただくことで、ご家族様に内緒で債務整理をしたい方の希望にできるだけ沿えるよう工夫を行っております。
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、全ての債権者に自己破産手続が開始したことを通知した上で、自分の資産や負債を明らかにし、借金を全額免除してもらうための手続です。
申立ての際には債権に関する詳細な情報(債権者名、債権者の住所、債権額、最初の借入時期、最後の借入日、最後の返済日、遅延損害金を含めた債権の総額など)や、資産の内訳、生活における収入と支出の内容など、様々な書類を準備して提出する必要があります。
自己破産においても、まず債権者からクライアント様への督促をストップさせるために、弁護士が債権者に対して受任通知を送ります。受任通知を受け取った債権者は、2週間から1か月ほどで、取引の履歴の詳細が書かれた取引明細書を送ってきます。送られてくる先は法律事務所です。
取引明細書が送られてきたら、利息制限法を超えるような利息となっていないかどうかなどを弁護士がチェックします。
これと並行して、弁護士がクライアント様から借入れの原因、資産状況、収入の状況等について事情をお伺いし、自己破産申立書類一式を完成させます。申立の準備が整ったら、裁判所に自己破産の申立てをします。
自己破産の申立てをすると、その日のうちに弁護士が裁判官と1対1の面接を行います。これを即日面接といいます。即日面接の結果、クライアント様の案件が同時廃止手続として進められるか、少額管財手続として進められるかが決まります。
また、自己破産の申立をすると、その事実が官報に掲載されます。
同時廃止手続の場合、約3か月後に免責審尋期日が設定され、クライアント様にもご出席いただくことになります。免責審尋期日までの3か月間は、債権者の届け出漏れなどが無い限り、特にクライアント様の方でやらなければならないことはありません。
少額管財手続(いわゆる管財事件)の場合、申立から約1週間以内に管財人候補者の事務所に行って、自己破産に至った事情などを丁寧に説明することになります。ここから約3か月後に債権者集会(及び免責審尋期日)が開かれ、クライアン様もご出席いただくことになります。
免責審尋期日から約1週間後に、裁判所から免責決定書が届きます。書類が届く先は、弁護士の事務所になります。免責決定が出てから約2週間後に官報に掲載され、そこから2週間経過すると確定します。これで、晴れて借金が帳消しになります。
自己破産の場合も、任意整理と同様、例えばクレジットカードで、クライアント様及びクライアント様のご家族の携帯電話の料金の支払いをしていたという場合、Aクレジットカード会社から借金をしていれば、携帯電話料金の決済ができなくなります。
また、銀行に借金があって、その銀行の口座に預金残高がある場合には、口座が凍結された上で、借入金と預金残高が相殺されてしまいます。その口座が生活口座になっていて、ご家族様もそこから引き出しをするような場合、口座が凍結されていることを知ってしまう可能性があります。
なお、凍結の対象になるのは、あくまで自己破産の申立てをした本人名義の口座のみです。いくら生計を共にしている家族であっても、両親、配偶者、お子様名義の口座については何ら影響がありません。
自己破産の場合、①申立をして裁判所での手続が開始した時点と、②免責決定が出た時点の2回のタイミングで、官報に掲載されます。
官報とは、国が発行する唯一の法令公布の機関紙として、また国の政策を周知したり、国民の権利義務に関連する各種の公告を掲載する機関紙で、休日を除き毎日発行されています。
この記事をお読みいただいている方の中で、官報を読んだことがある方というのはほとんどいらっしゃらないかと思います。そのため、官報に掲載されたことがきっかけで、自己破産をしたことが身内の方にバレるという方はほとんどいません。
また、自己破産の申立てをした場合、裁判所から自己破産開始決定書と免責決定書が送られてくることになりますが、送り先は弁護士の事務所ですので、ご自宅にこれら裁判所からの書類が届くことはありません。
なお、自己破産をした場合、7~10年間、信用情報機関に事故情報が登録されます。金融機関は、信用情報機関が保管している信用情報をチェックして、新しいクレジットカードの契約を結ぶか、限度額はいくらにするか、ローン契約を認めるか、といった判断をしていますので、自己破産後すぐには新たなクレジットカードを作ることができません。このことがきっかけとなって、身内の方に自己破産をしたことが知られてしまう可能性は否定できません。
管財事件の場合、上記同時廃止の場合のリスクに加えてさらに2つのリスクがあります。
まず一つ目は、自己破産手続開始から免責審尋期日までの最低約3か月間、クライアント様宛ての郵便物がいったん管財人に転送されるというものです。転送されるのは郵便局が配達する郵便物だけで、クロネコヤマトや佐川急便などからの宅配物については、そのままクライアント様のもとに届きます。管財人は、クライアント様宛ての郵便物を開封して、申立ての内容と矛盾がないかどうかなどをチェックし、クライアント様に返却します。約1週間ごとにクライアント様に郵送で返却を行う管財人が多いです。もし破産管財人からの郵便物が自宅に届くのを避けたい場合には、管財人事務所に取りに行って手渡して交付してもらうこともできます。
管財人に転送されるのは、あくまで申立てをした本人宛の郵便物だけですが、例えば、NTTの通信料を振り込み用紙で払っていて、振込用紙は夫宛てに来るが、いつも妻が代わりに支払っているというような場合には注意が必要です。夫が自己破産の申立てをすると、NTTの通信料の振込用紙も管財人に転送されるので、妻が「いつもであればもう届いているころなんだけど、今月はどうしてまだ届かないのだろう?」などと不振に思う可能性があるからです。
このような場合には、管財人に事前に「こういう郵便物が届いたらすぐに知らせて欲しい」とお願いをしておき、連絡があり次第すぐに管財人の事務所に郵便物を取りに行くといった工夫が必要になるでしょう。
二つ目は、同時廃止の場合には財産が全くないことが前提になっていますが、管財事件の場合、ある程度財産があるケースも含まれます。
20万円以上の価値のある自動車や、不動産、解約返戻金が20万円以上となる保険などについては、売却や解約が必要になります。そのため、これらのことがきっかけで身内の方に知られてしまう可能性があります。
以上のように、自己破産であっても、家族に内緒で手続を完了させることは不可能ではありません。もっとも、クレジットカード会社のカードを使って携帯電話や光熱費等の支払いを行っている場合や、ご家族様も利用する口座がある銀行に借金がある場合などは、引き落としができないなどのタイミングでご家族に知られてしまう可能性はありますし、また管財事件の場合には、郵便物がいったん管財人に転送されることで、家族が違和感を覚える可能性もあります。さらに、20万円以上の財産を持っているような場合には、これを売却ないし解約する必要があるため、これらの行為によって身内の方に知られるリスクは高いでしょう。
他方、自己破産という事実が官報に掲載されることについては、これがきっかけで身内の方に知れ渡るというリスクはほとんどないと言ってよいでしょう。
個人再生とは、裁判所に申立てを行い、住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらう手続のことです。
自己破産と違い、減額された後の借金については、原則3年(最長5年)かけて返済していくことになりますが、その代わりに自動車、保険積立金、住宅といった自分の財産を手放す必要がありません。
また、借入れの原因が浪費行為であったり、詐欺的な借入れをしていた場合には、自己破産をしても免責が認められない(借金がゼロにならない)可能性がありますが、個人再生の場合には、このように免責不許可事由がある場合であっても、借金の減額が認められます。
個人再生においても、まず債権者からクライアント様への督促をストップさせるために、弁護士が債権者に対して受任通知を送ります。受任通知を受け取った債権者は、2週間から1か月ほどで、取引の履歴の詳細が書かれた取引明細書を送ってきます。送られてくる先は法律事務所です。
取引明細書が送られてきたら、利息制限法を超えるような利息となっていないかどうかなどを弁護士がチェックします。
これと並行して、弁護士がクライアント様から借入れの原因、資産状況、収入の状況等について事情をお伺いし、個人再生申立書類一式を完成させます。申立の準備が整ったら、裁判所に個人再生の申立てをします。
個人再生の申立をすると、その事実が官報に掲載されます。
個人再生の申立てから約1週間以内に個人再生委員の事務所に行って、個人再生に至った事情などを丁寧に説明することになります。個人再生委員との面接が終わると、その後約1か月に1回のペースで、個人再生計画に基づく返済予定額を個人再生委員の預かり金口座に入金していくことになります。これを履行テストといます。要するに、個人再生計画が認められた場合に、本当に計画通りの返済ができるかどうかが試されるのです。
その後、債権届、届出債権に対する異議などを通じて債権額が確定し、法律に則った計画弁済額が計算され、これをもとに再生計画案を作成します。ここで、小規模個人再生の場合には、計画案に対し債権者の過半数から異議が出ないことが必要になります。
再生計画案が認可されたら、あとはその計画に従って、分割弁済を開始し、完済を目指していくことになります。
個人再生の場合も、任意整理や自己破産と同様、例えばクレジットカードで、クライアント様及びクライアント様のご家族の携帯電話の料金の支払いをしていたという場合、Aクレジットカード会社から借金をしていれば、携帯電話料金の決済ができなくなります。
また、銀行に借金があって、その銀行の口座に預金残高がある場合には、口座が凍結された上で、借入金と預金残高が相殺されてしまいます。その口座が生活口座になっていて、ご家族様もそこから引き出しをするような場合、口座が凍結されていることを知ってしまう可能性があります。
なお、凍結の対象になるのは、あくまで個人再生の申立てをした本人名義の口座のみです。いくら生計を共にしている家族であっても、両親、配偶者、お子様名義の口座については何ら影響がありません。
個人再生の場合、①申立をして裁判所での手続が開始した時点と、②再生計画案について書面決議をする旨の決定がなされた時点と、③再生計画案が認可された時点の3回のタイミングで、官報に掲載されます。
もっとも、官報を読んでいる人はほとんどいないので、官報に掲載されたことがきっかけで、個人再生をしたことが身内の方にバレるという方はほとんどいません。
個人再生の申立てをした場合、裁判所から個人再生開始決定書と再生計画認可決定書が送られてくることになりますが、送り先は弁護士の事務所ですので、ご自宅にこれら裁判所からの書類が届くことはありません。
なお、個人再生をした場合、7~10年間、信用情報機関に事故情報が登録されます。金融機関は、信用情報機関が保管している信用情報をチェックして、新しいクレジットカードの契約を結ぶか、限度額はいくらにするか、ローン契約を認めるか、といった判断をしていますので、個人再生後すぐには新たなクレジットカードを作ることができません。このことがきっかけとなって、身内の方に個人再生をしたことが知られてしまう可能性は否定できません。
なお、自己破産の管財事件と違って、個人再生の場合には、クライアント様宛ての郵便物が個人再生委員に転送されるということはありません。これまでどおり、クライアント様のもとに届きます。また、住宅ローンがある場合、住宅ローン特則を使うことで、住宅ローンについてはこれまでどおりの支払いを継続することができるため、この点から身内の方に知られてしまうということはありません。
さらに、自己破産と違い、財産の処分は一切求められていないため、この点でも自己破産より身内の方からは知られ難いと言えるでしょう。
以上のように、個人再生であっても、家族に内緒で手続を完了させることは不可能ではありません。もっとも、クレジットカード会社のカードを使って携帯電話や光熱費等の支払いを行っている場合や、ご家族様も利用する口座がある銀行に借金がある場合などは、引き落としができないなどのタイミングでご家族に知られてしまう可能性はあります。
他方、個人再生という事実が官報に掲載されることについては、これがきっかけで身内の方に知れ渡るというリスクはほとんどないと言ってよいでしょう。
また、自己破産(特に管財事件)と異なり、財産の処分が不要な点や、郵便物が転送されない点などから、個人再生の方が、自己破産よりも身内の方に知られてしまうリスクは小さいといえるでしょう。
身内の方にバレないように債務整理を進めたいという希望をお持ちのクライアント様は決して少なくありません。ここまで、任意整理、自己破産、個人再生それぞれの債務整理について、身内にバレずに行うことは可能なのかどうかについて解説してきました。
結論としては、いずれの債務整理であっても身内の方にバレずに済ませることは不可能ではありません。ただ、知られてしまうリスクは同じではありません。知られるリスクが小さい順番に並べますと、最もリスクが小さいのが任意整理、次が個人再生、そして同時廃止の自己破産、最もリスクが大きいのが管財事件の自己破産ということになりそうです。
もっとも、身内の方に知られてしまうかどうかは、ご夫婦でどのような口座の管理をしているか、郵便物は主に誰が受け取るか、クレジットカードで、自分以外の家族の分の利用料金も引き落とす形になっているかなど、ご家庭の状況によって様々です。
いずれの手続にしても、リスクを小さくすることはできてもゼロにすることはできません。身内の方に知られずに債務整理をしたいという場合、上記のようなリスクを踏まえて、できる限りの対処はした上で、万が一知られてしまったらその時はその時だというくらいの割り切りも必要だといえるでしょう。
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