預貯金通帳の写し提出時のポイント
預貯金通帳に記帳された入出金の履歴は、債務者の経済活動を反映しているため、自己破産手続を行う際には、申立前2年分の預貯金通帳の写しを裁判所に必ず提出する必要がございます。
提出された預貯金通帳の写しから、債務者の経済活動(お金の流れ)をはじめ、債権者に配当できる財産の有無や免責不許可事由がないかが確認されています。ちなみに、残高が0円であったり、休眠口座であったりしても、必ず提出しなければなりません。
こちらでは、通帳記帳のポイントや留意点についてご紹介します。
(平成29年4月1日改訂 即日面接通信vol.4-2を参照)
1.概括的な留意点
- 申立て前1週間以内の通帳記帳
- 最後に通帳記帳がなされてから申立てまでに時間が経過してしまうと、直近の入出金が
確認できなくなるため、申立て前1週間以内に記帳をする必要がございます。
- 「おまとめ記帳」がある場合は取引明細
- いわゆる「おまとめ記帳」がある場合、その間の入出金が確認できないため、取引明細を取り寄せて、それを提出する必要がございます。また、インターネットバンキングなどで通帳が発行されていない場合も取引明細の提出が必要です。
- すべての銀行口座の通帳の写しが必要
- 提出されている通帳の写しに、給料の振り込み、家賃、公共料金の支払など、債務者の生活状況から一般的に想定される入出金がない場合、他に口座があるのではないか疑義が生じてしまいます。万が一、特定の銀行口座の預貯金を隠して、裁判所に提出しなかった場合には免責不許可事由である「財産隠し」に該当しますのでご注意ください。
2.通帳の記帳内容に関する合理的な説明
通帳の記載内容については、入金・出金それぞれについて、きちんと合理的な説明ができなければなりません。
下記のような疑義のあるケースにおいて、それぞれ合理的な説明がない場合は、管財人による調査が必要と判断される場合がございます。
- 多額、多数回の入出金がある場合
- 預貯金口座から、多額の振込出金がなされていたり、債務者が多額の金銭を引き出されていたりするのに、その使途について合理的な説明がない場合には、偏ぱ弁済(特定の債権者にだけ返済する行為)や浪費が疑われてしまいます。また、継続的に多数回の入出金がなされているような場合には、申告のない債権債務が存在することや、債務者が副業を行っていることも考えられます。
- 積立、口座貸越(マイナスの残高)
- 普通預金口座から「積立」等の出金がある場合、定期預金の存在がうかがわれます。また、残高がマイナスとなっている場合は、定期預金を担保とした貸付の可能性が高いと考えられます。このような場合、定期預金の金額が確認できないと(そして、その金額が20万円未満であることが証明できないと)、20万円以上の資産がないとの証明ができないことになります。
- 保険料や固定資産税の支払がある場合
- 預貯金口座から保険会社に対する定期的な支払がある場合、当該保険会社の保険に加入していることがうかがわれます。この場合、保険契約の有無や解約返戻金の額について合理的な説明がないと、20万円以上の資産がないと判断できないことがあります。同様に、預貯金口座から固定資産税の支払がある場合には、不動産を所有していることがうかがわれます。
「破産申立のための書類」に戻る