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自己破産

免責審尋期日と免責許可決定

1.免責許可決定とは

免責許可決定とは、裁判所が、破産者が背負っている借金を免除する決定のことです。免責決定がなされるためには,免責許可の申立てをする必要があります。この申立ては、通常破産開始申立てと同時に行います。免責許可の申立てに対して、裁判所が免責を許可する判断を下した場合,免責許可決定がされ,これが確定することで,免責の効力(すなわち、借金を返さなくてよくなる)が発生します。自己破産をすれば自動的に免責許可になるのではなく、免責許可の申立てをして、裁判所がその相当性を検討し、免責しても良いと判断されて初めて免責が認められるという点が重要です。

2.免責許可決定の要件

破産法には,免責不許可事由というものが列挙されています(破産法252条1項各号)。具体的な免責不許可事由は以下のとおりです。

  • あえて債権者に損をさせるような行為を行った場合(財産の秘匿、破壊、不当に安い価格での処分、新たな債務負担など)
  • 特定の債権者に対して優遇するような返済等を行った場合
  • 借金の主たる原因が浪費やギャンブルなどによる場合
  • 債権者を騙して借入れ等を行った場合
  • 財産の状況等に関する帳簿など重要な書類を隠蔽したり偽造した場合
  • 虚偽の債権者一覧表を提出した場合
  • 破産手続において裁判所からの調査を拒んだり虚偽の説明をした場合
  • 破産管財人などの職務を妨害した場合
  • 免責許可を得たり、給与所得者等再生における再生計画が認可されてから7年が経過していない場合
  • その他破産手続上の義務(説明義務や調査協力義務等)に違反した場合

もっとも,免責不許可事由に該当する場合でも,裁判所が破産手続開始に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責の許可をすることが相当であると認める場合には,免責許可決定を出してもらうことができます。これを裁量免責といいます。

3.免責審尋期日

破産開始申立てと同時に免責許可申立てをした場合、免責審尋期日が開かれることになり、破産者はこの免責審尋期日に出頭しなければなりません。これは、裁判所の判断で、債務を免責する以上、慎重な判断が必要であり、債権者にも意見を言う機会を与える必要があるためです。

もっとも、実際の免責審尋においては,すでに裁判所も申立時に詳細な書類の提出を受けていることから,申立後の変更点につき中心的に質問していく方法がとられます。また,債権者からの意見等がある場合には,審尋においてこれを告知することになります。また,裁判所が気になる点,代理人から申立人に十分な指導がされているか,免責手続きの重要性を理解しているかなどを直接質問することもあります。

免責審尋期日の流れ

免責審尋期日は、通常の裁判が行われるのと同じように法廷で行われます。時間までに法廷前で受付をし,傍聴席で待機することになりますが,同じ時間に多くの審尋を行うため,傍聴席が満席となることもあります。

まず,裁判官より免責審尋の説明があります。

主に,「申立てのみで免責がされるのではなく,裁判所の決定がなされてからである」こと,「免責が認められてもその後7年間は再度の免責は認められない」こと,「債権者から意見があった場合には審尋において告知する」こと「決定後に交付される書面は大切に保管する」ことなど重要事項が述べられます。

免責審尋期日では何を聞かれるのか

通常の裁判では,裁判官から見て右手側が原告,左手側が被告のように座りますが,免責審尋期日は、申立人と裁判官とで行われるため,そのような指定はありません。

当日は,多くの申立人の審尋が次々に行われるため,左右の席に順番に申立人が座り、審尋が終わると退席し、空いた席に次の申立人が座るということを繰り返します。受付順に番号札が配られるので、自分の番号の二つ前まで来たら、法廷内に入り着席します。

一日に多くの申立人の審尋を行うため,裁判官からは事前に提出された申立書に記載された事実から変わった点,新たな点を中心に質問されます。通常,申立て時から状況が変わっていなければ特に質問をされることなく手続が終了します。

免責審尋は通常の裁判が行われるのと同じように法廷で行われますが,通常の裁判と異なり,一般への公開はされません。

4.免責許可決定書の送付

免責許可決定がなされると約1週間で免責許可決定書という書面が、申立代理人弁護士宛てに送られてきます。

この決定書は、法律上借金がなくなったことを証明する非常に重要な書類です。弁護士から免責許可決定書を受け取った後は、必ずご自身で大切に保管されて下さい。


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