外国籍の方でも、生活の本拠地が日本にある方であれば、お金を借りることができますし、その結果返済能力を超える借り入れをしてしまって、借金の減額や免除を求めて債務整理を検討されていらっしゃる方もいるでしょう。
では、日本国籍を有しない外国人の方でも債務整理は可能でしょうか?
債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生という3種類の方法があります。
結論を申しますと、外国籍の方でも、任意整理、自己破産、個人再生すべての手続が可能で、どの方法でも借金を整理することができます。
以下、任意整理、自己破産、個人再生それぞれについて詳しくご説明します。
まず、任意整理とは、貸金業者と個別に交渉を行い、債務額を減らしたり、利息のカットや分割回数の変更によって月々の返済額を減らし、スムーズな完済を目指していく手続です。
弁護士があなたの代わりに貸金業者と交渉を行い、現在の返済条件よりも有利な条件での和解契約締結を目指していきます。
任意整理は、自己破産や個人再生と異なり、裁判所を通さず、各債権者との間で交渉を行っていくものですので、外国人の方であっても当然利用することができます。
もっとも、交渉が成功し和解が成立するためには、返済の意思と返済能力があることが条件になります。そのため、あと何年日本にいるのか、勤務先の契約期間はあと何年あるか、自宅は賃貸か持ち家かなど、どれくらい日本との繋がりを証明することができるかがポイントになるでしょう。
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、全ての債権者に自己破産手続が開始したことを通知した上で、自分の資産や負債を明らかにし、借金を全額免除してもらうための手続です。
申立ての際には債権に関する詳細な情報(債権者名、債権者の住所、債権額、最初の借入時期、最後の借入日、最後の返済日、遅延損害金を含めた債権の総額など)や、資産の内訳、生活における収入と支出の内容など、様々な書類を準備して提出する必要があります。 その結果、裁判所が免責手続において免責許可決定を出してくれれば、公租公課や破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償義務などを除き、すべての借金が免除されることになります。
自己破産は破産法という法律に基づく制度です。
破産法には次のような規定があります。
(外国人の地位)
第3条 外国人又は外国法人は、破産手続、第十二章第一節の規定による免責手続(以下「免責手続」という。)及び同章第二節の規定による復権の手続(以下この章において「破産手続等」と総称する。)に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。
すなわち、「破産手続及び免責手続に関して外国人は日本人と同じく扱われる」ということなので、外国人の方でも、自己破産を利用して、借金の免除を受けることができるということになります。
なお、自己破産の申立ては、破産者の生活の本拠地がある場所を管轄する裁判所に申し立てることになっていますので、日本国内に住所を有していることは、当然の条件となります。
個人再生とは、裁判所に申立てを行い、住宅ローン以外の借金を大幅(最大10分の1)に減額してもらう手続のことです。
自己破産と違い、減額された後の借金については、原則3年(最長5年)かけて返済していくことになりますが、その代わりに自動車、保険積立金、住宅といった自分の財産を手放す必要がありません。
また、借入れの原因が浪費行為であったり、詐欺的な借入れをしていた場合には、自己破産をしても免責が認められない(借金がゼロにならない)可能性がありますが、個人再生の場合には、このように免責不許可事由がある場合であっても、借金の減額が認められます。
個人再生は民事再生法という法律に基づく制度です。
民事再生法には次のような規定があります。
(外国人の地位)
第3条 外国人又は外国法人は、再生手続に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。
すなわち、「個人再生手続に関して外国人は日本人と同じく扱われる」ということなので、外国人の方でも、個人再生を利用して、借金の大幅な減額を受けることができるということになります。
なお、個人再生の申立ては、申立人の生活の本拠地がある場所を管轄する裁判所に申し立てることになっていますので、日本国内に住所を有していることは、当然の条件となります。
以上のように、外国籍の方であっても、任意整理、自己破産、個人再生いずれの手続も利用することができます。
当事務所では、外国籍の方に対しても、債務整理のご依頼を受け付けておりますので、お気兼ねなくお問い合わせください。
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